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ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース
|ダブル・サイレンス

参考画像

(左)マーク・マンダース《椅子の上の乾いた像》2011-2015 (右)ミヒャエル・ボレマンス《オートマト(I)》2008

Photo: Peter Cox Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp, Gallery Koyanagi, Tokyo, Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles & David Zwirner

金沢21世紀美術館

ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス

ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースは、共にヨーロッパが誇る芸術の歴史を素地に、他に類を見ないユニークな表現で世界に知られる美術家です。この度、はじめて、二人だけの作品で空間構成をする二人展「ダブル・サイレンス」を開催します。

20世紀の終わりから加速したグローバル化の波は欧米を出発して様々な地域に押し寄せ、波頭が割れるように各所に影響を与えました。同時に各地域からは様々な事や物や人を吸い上げて大きなうねりとなり現在に至り、今や文字通り世界全体を覆い尽くしています。いわゆる「現代美術」もまた、この流れと軌を共にしています。ベルリンの壁が崩れた後、美術もまた周縁化することで、いかに地域の歴史文化の独自性を持つかが問われてきました。そして30年ほどが経過した今、美術ではグローバル化と周縁化の間で、地域性に起因する文化差異が重要というよりは、そもそも普遍的な価値とは何かについての内省が始まっています。なぜこのような状況が加速しているかは、いくつか考えられますが、情報の高速化によって世界同時性を実現した現代社会では、価値の普遍性の探求は、特定の地域に限らないことに気づき始めたからではないでしょうか。そしてCOVID-19によって、芸術における内省はグローバル化しています。長きにわたり人間の普遍的価値を探求してきたヨーロッパの美術史を踏まえ、ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースもまた、同時代を生きる彼らの内省を私たちと共有しています。バロック美術の伝統を受け継ぎ、人間の暗部を描き出すボレマンスの絵画作品。「建物としてのセルフ・ポートレイト」をコンセプトに、身体の断片が印象的なマンダースの彫刻作品。それぞれメディアは違えど、いずれも複雑な心理状態や関係性を深く掘り下げています。

「ダブル・サイレンス」は沈黙や静寂の中で、作品を通して彼ら自身が対話する空間と時間に、ボレマンスとマンダースが人々を誘う展覧会です。英語の「ダブル」という単語には、掛け合わせや足し上げによる二重や二倍といった意味もありますが、「二つ一緒」「明らかに異なる局面」「対を成す」など、実に多彩な意味が含まれます。いずれも一筋縄ではいかないボレマンスとマンダースによる二人展には、実にふさわしい展覧会名です。
この機会に、80点余りの作品がSANAAによる建築と呼応する空間に足をお運びください。

ミヒャエル・ボレマンス《天使》2013
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《天使》

タイトルが示す「天使」の一般的なイメージからは遠く、黒い顔面や人間のサイズを超えたスケールには違和感を感じる。ドレスの袖から出た筋肉質の腕や大きな手、肩幅が広く短い髪など、人間であれば男性を感じさせるが全体としては判然としない。ボレマンスのモナリザとも評されるこの作品は、ベルギーのトップモデル、ハネロア・ナッツ(Hannelore Knuts) がモデルと言われている。目を伏せうつむき、力無く直立したポーズは静穏で無活動、湧き出る人間的な感情や感覚が失われて、孤立感もある。ボレマンスが描く人物像によく見られる特徴が顕著な代表作である。

 

マーク・マンダース《4つの黄色い縦のコンポジション》2017‒2019
Photo: EPW STUDIO
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp & Tanya Bonakdar Gallery, New York

《4つの黄色い縦のコンポジション》

最新作は、人物の顔に4つの黄色い木片が垂直に差し込まれた印象的な彫刻作品である。ひび割れた粘土のように見えるが、実際は鋳造された青銅に着色を施している。胸像はそれぞれ異なる角度で配置され、わずかな大きさの違いによって遠近を作り出している。周囲を歩き回る間、物事には複数の視点があり、変化は見る側の創造によって起きることに気づかされる。顔面に差し込まれた一部木片の介入は、本体の物質的な量塊に比べて僅かなボリュームでありながら、全体の基礎の確かさを脅かすほどの力強さがある。

マーク・マンダース《2 色のコンポジション》2005‒2020
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp

《2色のコンポジション》

言語はマンダースの作品制作において重要な役割を果たしている。作品のほとんどには言葉と思考の関係が見て取れる。新聞は彼の言語に関わる芸術上の実践に繰り返し現れるモチーフである。彼が作成したルールは、新聞には英語の辞書のすべての単語を順不同で、一度限り使うというものだ。従って、各単語は言語上の文法秩序を度外視して配置されているが、オーバーペイントやコラージュによって隠されたり編集されている部分も含めて、作品に関係する注目すべき単語が含まれているかもしれない。小さい紙面ながら、単語の組み合わせを考え続ける限り、現実とは異なる架空の世界で果てしなく遊ぶことができる。
2つの色について、マンダースは長い間、素材の固有の色をそのまま使ってきたが、彼は徐々に色を組み合わせ、統合する方法を見つけているようだ。特に近作は黄色が多用されている。本作は、厳密には黄色ではなくオレンジでもない、その中間であり、一般的な名前のない色であろう。

 

■ 金沢21世紀美術館公式サイトへ

会期 2020年9月19日(土) -2021年2月28日(日)
会場 金沢21世紀美術館
展示室7〜12・14
開館時間 10:00〜18:00(金・土曜日は10:00〜20:00)
休館日 毎週月曜日(ただし9月21日、11月23日、2021年1月11日は開場) 9月23日(水)、11月24日(火)、12月29日(火)〜2021年1月1日(金)、1月12日(火)
料金 観覧券[日付指定入場制]
一般:1,000円(1,200円)
大学生:600円(800円)
小中高生:300円(400円)
65歳以上の方:1,000円(1,000円)
※( )内は当日券料金
※団体鑑賞予約対象外
※本観覧券で入場当日に限り、同時開催中のコレクション展(10月17日〜2021年2月28日)にもご入場いただけます。
予約券 注意事項 ・全ての予約券は、指定の入場日付以外でのご利用はできません。
券面に記載の入場日付にご来場ください。
・全ての予約券は、指定の入場日付ごとの数量限定販売となります(先着順・予定数量に達し次第販売終了)。
・当日券もご用意がございますが、予約券のご購入をお勧めします。
・ご購入済みの予約券の払戻しはいたしかねます。
・その他詳細は当館ウェブサイトをご覧ください。
お問い合わせ 金沢21世紀美術館
TEL 076-220-2800 FAX 076-220-2802
アクセス
・ 路線バス:JR「金沢駅」バスターミナル 兼六園口(東口)
 3番、6番乗り場よりバスにて約10分「広坂・21世紀美術館」にて下車すぐ。
 兼六園口8~10番乗り場よりバスにて約10分「香林坊(アトリオ前)」下車、徒歩約5分。
・まちバス(土・日・祝日のみ運行)
 JR「金沢駅」バスターミナル東口5番乗り場から約20分
 「金沢21世紀美術館・兼六園(真弓坂口)」にて下車すぐ。
・ タクシー:JR「金沢駅」東口タクシー乗り場から約10分